image110経済産業省は、中小企業の雇用状況に関する調査、地域の中核を担う中堅・中小企業等における賃上げ等の取組に関する調査を行い、その結果を表しました。

賃上げを実施した企業は、昨年度に比べ全国的に増加し、地域間の格差も少なくなっており、地方へ「経済の好循環」が着実に波及しつつある状況が見られますとしています。

同調査によれば、平成 26 年度にベースアップや賞与・一時金の増額等何らかの賃上げを行った企業の割合は 65%で、賃上げを行った企業のうち、36%の企業がベースアップに相当する賃上げを実施した(全回答企業に占める割合は 23%)と回答したとされています。

賃上げの理由(複数回答)としては、従業員の定着・確保と回答した企業が最も多く76%、次いで業績回復の還元が 29%となりました。

一方、平均賃金を「引き上げない/引き上げていない」と回答した企業の主な理由は、「業績の低迷」が 71.7%で最も多くなっており、業績の低迷が賃上げを妨げていることがわかります。また、次いで「賃金より従業員の雇用維持を優先」「原油・原材料価格の高騰」が多くなっており、雇用維持への努力やコストアップの影響があるようです。

このように賃金を引き上げた企業でも引き上げなかった企業でも、「従業員の定着・確保」「雇用維持」を理由に挙げる企業がおおく、中小企業の人手不足は依然として深刻であることが見て取れる結果となりました。少子高齢社会は依然進展しており、今後も当分こうした傾向は続くものと思われます。そうなれば、賃金だけでなく、働く環境の改善も進めていかざるを得ないようになっていくでしょう。

同調査では、「地域の中核を担う中堅・中小企業等」について、職場改善の事例もいくつか取り上げられています。たとえば、介護が必要な家族がいる社員のために、介護休業や介護休暇を、法定の期間より大幅に拡充すること、女性を積極的に登用するため、短時間勤務制度を導入すること、出産お祝い金を2万円から10万円に増額することなどです。

いずれも、育児と仕事、介護と仕事の両立に資する施策といえますが、どのような施策が効果を発揮するかは企業によって異なることに注意が必要です。大筋の方向としては、まず過去の退職理由について分析し、それらを防止するためにはどのような施策が効果的かを検討してみるとよいでしょう。

■関連リンク

中小企業の雇用状況に関する調査・地域の中核を担う中堅・中小企業等における賃上げ等の取組に関する調査の概要を公表します(経済産業省HP)

 

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