今回は、「人事労務に関する最古ニュース」として、実際には最古ではないのですが、厚生労働省のホームページに掲載されている戦前の古い通達をご紹介します。

法第六十一条ノ「被保険者闘争若ハ泥酔ニ因リ」トアルハ主トシテ闘争又ハ泥酔ノ当時ニ生シタル事故ヲ指ス意義ナルヤ実ハ当組合被保険者ニシテ数日前闘争シタルコトアルモ幸其ノ当時ニ於テハ何等ノ事故ヲ生セスシテ事終レリ然ルニ一方カ此ノ恚念ヲ晴サン目的ヲ以テ数日ヲ経過シタル後ニ於テ不意ニ危害ヲ加ヘラレタルモノアリ斯ノ如キ闘争ニ基因シタルモノヲ闘争卜看做シ同法ヲ適用スヘキモノナリヤ疑義ノ点相生候条何分ノ御指示仰度実例ヲ具シ此段及伺候也

本通達は、服部桜田健康保険組合理事長が社会局保険部長宛に照会したものです。この法第61条(旧法61条)とは、傷病手当金について定めたもので、「闘争もしくは泥酔により・・・危害予防に関する業務上の監督者の指揮に従わざるにより事故を生ぜしめたるときは、傷病手当金の全部または一部を支給せざることを得」のことです。

この条文について、その当時には事故は発生しなかったが、その後、一方が恨みを晴らそうとして数日経過後に不意に危害を加えられたような場合に、適用されるかどうかを質問したものです。

これに対する回答は、「闘争または泥酔により、その際生ぜしめたる事故を謂う義に有之。故に例示の場合は右に該当せざるものと認められ」るとし、本条を適用しないとしたものです。

本通達が現在も有効と言えるのかどうかは判断しかねるところですが、旧法61条は、現行の健康保険法117条「被保険者が闘争、泥酔又は著しい不行跡によって給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、その全部又は一部を行わないことができる。」と趣旨を同じくするものですので、同様の事例においても参考にされるべきものと思われます。

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参考リンク

闘争又ハ泥酔ニ因リテ生セシメタル保険事故ニ関スル件(厚生労働省HP)