世界の労働基準監督署からVOL011:亀戸労働基準監督署

前2回に引き続き、シフト制労働者の雇用管理に関する留意事項についてみていきます。今回は、労働者を実際に労働させるに当たっての労働時間等の扱いから見ていきます。

第1に、労働時間については、シフト制労働者の場合であっても、1日8時間以内、1週40時間以内の法定労働時間が適用されますので、法定労働時間を超えて労働させる場合や法定休日(週1日または4週4日の休日)に労働させる場合には、いわゆる36協定を締結し、労働基準監督署に届け出なければなりません。また、変形労働時間制を導入して1日または週の法定労働時間を超えて労働させる場合には、あらかじめ就業規則の整備、労使協定の締結などの手続が必要です。

第2に、休憩については、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも 45 分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければなりません。

第3に、年次有給休暇については、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤したときは、労働基準法所定の日数の年次有給休暇を付与しなければなります。たとえ雇用契約の契約期間が6か月未満であっても、契約が更新されて6か月以上に及んでいる場合には、6か月間継続勤務の要件を満たすこととなります。また、所定労働日数が少ない労働者についても、労働日数に応じた日数分の年次有給休暇を与えなければなりません。

第4に、コロナ禍で問題となった休業については、使用者の責に帰すべき事由により労働者を休業させた場合、平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければならないこととされています。ここで、「使用者の責に帰すべき事由」は、使用者の故意や過失に限定されず、使用者側に起因する経営、管理上の障害なども含まれます。ただし、不可抗力による場合はこれに当たりません。

一般的には、① その原因が事業の外部より発生した事故であること、②事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができない事故であることという2つの要素をいずれも満たす場合は、不可抗力による場合に該当することとなります。なお、②の要素を満たすためには、使用者として休業を回避するための具体的努力を最大限尽くしていると言える必要があり、具体的な努力を尽くしたと言えるか否かは、例えば、次のような事情から判断されることになります。

  • 自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分に検討しているか
  • 労働者に他に就かせることができる業務があるにもかかわらず休業させていないか

シフト制労働者の場合であっても、使用者の責に帰すべき事由により労働者を休業させた場合には、休業手当の支払が必要になります。

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参考リンク

いわゆる「シフト制」について(厚生労働省HP)