世界の労働基準監督署からVOL014:足立労働基準監督署

事務所その他の作業場における労働者の清潔保持等のために事業者が講ずべき措置等について、事務所則及び安衛則について改正が行われました。

特に「便所」の設置基準の改正については、一部報道などでも注目されました。

旧事務所衛生基準規則(事務所則)では、事業者は、①男性用と女性用に区別すること、②男性用大便所の便房の数は、同時に就業する男性労働者60人以内ごとに一個以上とすること③男性用小便所の箇所数は、同時に就業する男性労働者30人以内ごとに一個以上とすること、④女性用便所の便房の数は、同時に就業する女性労働者20人以内ごとに一個以上とすることとされていました。

新事務所則では、「作業場に設置する便所については、作業場の規模にかかわらず男性用と女性用に区別して設置すること」を原則として確認したうえで、住居として使用することを前提として建築された集合住宅の一室を作業場として使用している場合など、便所が1箇所しか設けられておらず、建物の構造や配管の敷設状況から、男性用便房、男性用小便所、女性用便房の全てを設けることが困難な場合もあることから、「同時に就業する労働者の数が常時10人以内である場合は、独立個室型の便所を設置した場合に限り、例外的に男女別による設置は要しない」とされました。

ここで「独立個室型の便所」とは、男性用と女性用に区別しないそれ単独でプライバシーが確保されている便所のことをいい、仕切り板または上部もしくは下部に間隙のある壁等により構成されている便房からなる便所と対をなす概念の便所とされています。

なお、パブリックコメントにおいて本改正に対する批判が寄せられたこともあり「一個の便房を男女が共用することに伴う風紀上の問題や心理的な負荷については、個々の作業場における便所の設備や設置場所、男女比率等によっても大きくことなることから、消臭や清潔の保持についてのマナー、サニタリーボックスの管理方法、盗撮等の犯罪行為の防止措置、異常事態発生時の措置…など、便所の使用や維持・管理に関するルール等について、衛生委員会等で調査審議、検討等を行った上で定めておくことが望ましい」とされています。

また、男性用と女性用に区別した便所を設置した上で、独立個室型の便所を設置する場合は、男性用大便所または女性用便所の便房の数もしくは男性用小便所の箇所数を算定する際に基準とする同時に就業する労働者の数について、独立個室型の便所1個につき男女それぞれ10人ずつ減ずることができることとされました。

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参考リンク

事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について(厚生労働省HP、PDF)