世界の労働基準監督署からVOL021:足利労働基準監督署

労働基準法施行規則等の改正案が労働政策審議会労働条件部会に示されました。今回の改正の大きな柱は①無期転換ルールに関するもの②裁量労働制に関するものがあります。

初めに①無期転換ルールに関するものについて紹介しましょう。

  • 労基法15条1項前段に基づく労働条件明示事項に、「通算契約期間または有期労働契約の更新回数の上限並びに就業場所・業務の変更の範囲」を追加する。
  • 無期転換申込権が発生する契約更新時における労働条件明示事項に、無期転換申込機会と無期転換後の労働条件を追加する。
  • 無期転換後の労働条件を明示する際には、労働契約の締結時に書面の交付等の方法により明示することとされている事項については、書面の交付等の方法により明示することとする。

次に②裁量労働制に関するものについて紹介しましょう。

  1. 対象労働者の要件
    • 企画業務型裁量労働制について、対象労働者に適用される評価制度およびこれに対応する賃金制度を変更する場合に、使用者が労使委員会に変更内容について説明を行うことを決議事項に追加することとする。
  2. 本人同意・同意の撤回
    • 専門業務型裁量労働制について、本人同意を得ることや、同意をしなかった場合に不利益取扱いをしないことを協定事項に追加することとする。
    • 専門型および企画型について、同意の撤回の手続を協定事項及び決議事項に追加することとする。
  3. 労使委員会の実効性向上
    • 企画型について、使用者が労使委員会に対象労働者に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度の内容について説明することに関する事項を労使委員会の運営規程に追加することとする。
    • 企画型について、労使委員会が制度の実施状況の把握及び運用の改善等を行うことに関する事項を労使委員会の運営規程に追加することとする。
    • 労使委員会の開催頻度を6か月以内ごとに1回とすることを労使委員会の運営規程に定めることとするとともに、労使委員会の労働者代表委員の選出手続の適正化を図ることとする。
    • 労使委員会の労働者代表委員が労使委員会の決議等に関する事務を円滑に遂行することができるよう、使用者は必要な配慮を行わなければならないものとする。(労働時間設定改善法施行規則の労働時間等設定改善委員会においても同様の改正を行う。)
  4. 行政の関与・記録の保存等
    • 6か月以内ごとに行うこととされている企画型の定期報告の頻度を初回は6か月以内に1回及びその後1年以内ごとに1回とすることとする。
    • 専門型・企画型ともに、健康・福祉確保措置の実施状況等に関する労働者ごとの記録を作成し、保存することとする。

なお、現行制度でも、労働時間の状況と講じた健康・福祉確保措置や講じた苦情処理措置等に関する労働者ごとの記録を保存するということについて、労使委員会決議または労使協定において定めることが求められています。今回の改正案は、これに加えて、直接これらの書類の保存を義務付けるもとのされています。なお、現行制度でも労使協定または決議は、3年間保存することを定めることが求められています。

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参考リンク

第188回労働政策審議会労働条件分科会(厚生労働省HP)