裁量労働制については、省令改正が令和6年4月1日から施行・適用されます。これに関して8月に施行通達、Q&Aが公表されたところですが、この度、詳細なパンフレットとQ&Aの追加が公開されました。

そこで、今回はQ&Aの追加されたものについていくつか紹介します。

今回の改正により、専門型の適用を受けることについての労働者の同意が必要となります。この同意の方法について、今回のQ&Aの追加で、「書面の交付を受ける方法のみならず、電子メールや企業内のイントラネット等を活用して電磁的記録の提供を受ける方法により取得することが可能」であることが示されました(1-4)。ただし、同意を取得する際には「①対象業務の内容を始めとする協定又は決議の内容等当該事業場における裁量労働制の制度の概要、②裁量労働制の適用を受けることに同意した場合に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度の内容、③同意しなかった場合の配置及び処遇について、使用者が労働者に対し、明示した上で説明」することが必要です。なお、パンフレットに同意書面のひな形が掲載されていますので、参照してください。

上記のうち①については、「書面の交付による方法や、電子メールや企業内のイントラネット等を活用して電磁的記録を交付する方法等を用いることで労働者が制度を確実に理解できるよう明示をすることが適切である」ことが示されています(1-5)。また、労働者の同意については、協定の有効期間ごとに取得する必要があることが示されました。「その際には、改めて制度の概要等を明示した上で説明し、労働者の同意を取得することが適当」とされており、実務的には難儀するように思います。

これに対して、今回専門型にも採用された「撤回」については、任意の時期に申出ができるとしつつ、「労使協定や決議において、同意の撤回の手続について、例えば「適用解除予定日の○日前までに同意の撤回を申し出る必要がある」等の定めをすることは可能」であることが示されました。この点は労使協定のひながたには記載がないため、追記するのがよいでしょう。

また、「撤回後に基本給額や手当額が撤回前より下がる場合や、適用労働者のみ支給対象の手当が支給されなくなる場合」が不利益取り扱いに該当するかどうかについては、「あらかじめ労働契約(個別の労働契約や就業規則等)の内容として、適用労働者と非適用労働者の等級とそれに基づく賃金額や、適用労働者のみ支給対象の手当が定められている場合には、撤回後の労働条件は当該労働契約の内容に基づき決定されるものであるから、その内容が明らかに合理性のないものでない限り」当たらないとされました。専門裁量制の適用者に手当を支払っているケースは珍しくないので、この点が就業規則(賃金規程)上明確になっているか確認する必要があります。

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参考リンク

裁量労働制の概要(厚生労働省HP)