• 厚生労働省のHPに改正職業安定法に関してQ&Aが掲載
  • 事業所以外の場所で職業紹介を実施するのはあくまで一時的な場所で行うものであって、その場合でもプライバシーを確保できるような措置が必要であることなど、実務に密接な内容となっている

厚生労働省のHPに改正職業安定法に関してQ&Aが掲載されました。

設問は多岐にわたるため、ここでは、職業紹介事業者に関連するものについて取り上げたいと思います。

他のQ&Aは、下記のリンク先を確認してください。

問2-1

職業紹介事業者の事業所以外でも職業紹介を実施できるようになったとのことだが、プライバシーが確保される場所であって、職業紹介責任者が当該場所にいれば、労働局に届け出た事業所以外であっても職業紹介を行う事ができると理解してよいか。

・職業紹介事業は、原則として、許可を受け又は届出を行った事業所において行わなければなりませんが、イベントや出張相談等の一時的・臨時的な場において求人・求職の受理等を行う場合を想定し、事業所外において職業紹介を行うことを可能としています。
・その場合でも、個室の設置、パーティーション等での区分により、プライバシーを保護しつつ求人者又は求職者に対応することが可能な場所において、職業紹介責任者が現場にいる又は速やかに到着できる体制を整えておく必要があります。
・なお、上記のような想定を超え、一定の場所を拠点として恒常的に職業紹介を行う場合は、事業所の新設の届出を行う必要があります。

上記のように事業所以外の場所で職業紹介を実施するのはあくまで一時的な場所で行うものであって、その場合でもプライバシーを確保できるような措置が必要とされています。

問2-2

法第 32 条の 14 において、職業紹介責任者の責務として、職業紹介の従業者に対して必要な教育を行うことが規定されているが、職業紹介に全く関与しない従業員に対しても教育を行う必要があるのか。

○ 例えば、求人又は求職の受理又は管理、求職者の個人情報の管理等、職業紹介の業務の一部を行っている職員は、全て教育の対象となります。

○ 一方、職業紹介に全く関与しない職員に対してまで、職業紹介の運営に関する教育を義務付けられているわけではありません。

職業紹介責任者の教育の対象範囲は職業紹介の業務に従事する者であって、全く関与しない従業員までも対象とするものではないことが明確にされました。

問4-1

指針第5の4(1)において、職業紹介事業者は、その紹介により就職した者に対し、就職後2年間は転職勧奨を行ってはならないとされている。これに関して、① 紹介した求職者に対して、定着支援等のために連絡を取ることは禁止されないと考えてよいか。② 求職登録の勧誘等を行っていたところ、後から転職勧奨禁止の対象者に該当することが判明した場合(※)、どのように対応すべきか。

(※)匿名又は仮名で求職の申込みを行っていた場合等

① 紹介した求職者に対して一切連絡を取ってはならないというものではなく、転職の勧奨を行うものでない限り、紹介した求職者に対する事後的なサービス等を行うことは可能です。ただし、紹介先の求人者から、転職勧奨を行っているとの誤解を受けた場合にはトラブルが発生する可能性もあるため、そのような誤解を受けないよう配慮することが必要です。

② 事例のように、対象者に対して意図的に声かけを行ったわけではない場合には、その時点では不適切な行為とは言えません。ただし、転職勧奨禁止の対象者であることが判明した段階で、それ以降の転職勧奨(求職登録の勧誘)を控えることが必要です。

紹介した者に対する転職勧奨禁止に関して、意図したわけではない場合には、その限りにおいて不適切な行為とまでは言えなません。

問4-2

法第 32 条の 16 第3項に基づく職業紹介実績等の情報提供のため、職業紹介事業者は、紹介した無期雇用就職者が6か月以内に離職したかどうか把握する必要があるが、指針第5の9(1)において、求人先の雇用主に対して調査を行わなければならないと規定されている。調査については、求人先の雇用主に対して行うことのみが認められ、求職者に連絡を取ることは禁止されているのか。

○ 調査の方法は、求人者に対する調査に限られるものではなく、職業紹介事業者において方法を工夫していただくことは可能です。

○ なお、指針第5の9(1)においては、一般的には求人先の雇用主に対して調査を行うことが確実かつ簡便であると考えられますので、求人先の雇用主への調査を行うことを原則として規定されています。これを踏まえ、指針第5の9(2)において、求人先の雇用主は職業紹介事業者の調査に協力すべき旨が定められています。

○ 仮に求職者に対して調査を行う場合は、個人情報の保護や、求人者及び求職者とのトラブルの予防、求職者に対する転職勧奨と誤解されないようにすること等に配慮していただくことが必要です。

無期雇用で就職した者の継続勤務の状況を確認する場合には、原則としては求人者にするべきとしつつ、求人者に対して調査をすることが指針に違反しているとまでは言えないとされました。

問4-3

職業紹介事業者が求人者及び求職者に対して明示すべき事項(則第 24 条の5第1項第2号)や、人材サービス総合サイトに掲載すべき事項(則第 24条の8第3項第5号)として、「返戻金制度に関する事項」が定められているが、「返戻金制度に関する事項」については、① 返戻金制度を設けていない場合には明示等の必要はないのか。② 「返戻金制度がある」とだけ明示等を行えばよいのか。③ 事業所内の一般の閲覧に便利な場所に返戻金制度について記載した書面を掲示しなければならないことになっているが、職種、期間等により、適用される返戻金制度の内容が異なる場合に、詳細部分は別冊で示すこととすることは可能か。

① 「返戻金制度に関する事項」とは、返戻金制度の有無及びその内容を指します。そのため、返戻金制度を設けていない場合も、返戻金制度がない旨の明示等が必要です。

② 返戻金制度を設けている場合は、返戻金制度の内容(適用される条件、返戻金の金額や割合等)についても明示等が必要となります。

③ 返戻金制度の具体的内容については、掲示を行うことが必要です。ただし、事業所における掲示においてその内容が細分化され多岐にわたる場合等には、事業所を訪問した求人者及び求職者が誰でも閲覧できる状況にした上で、別冊にて記載すること等も可能です。なお、これらと併せて、人材サービス総合サイトへも PDF 化による掲載や関係 URL の掲載等により、広く一般の方向けの情報提供を行う必要がありますのでご留意ください。

返戻金制度を設けている場合は、制度の概要を掲示をする必要があります。また、そのような制度を設けない場合には、制度がない旨を明示する必要があることが明確化されました。

このように、Q&Aでは実務に密着した内容になっており、職業紹介事業者としては必ず確認しておくようにしましょう。

参考リンク

職業安定法改正Q&Aを掲載しました(厚生労働省HP)

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