今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • JILが「改正労働契約法とその特例への対応状況及び 多様な正社員の活用状況に関する調査」結果を公表
  • 無期転換ルールへの対応としては、「通算5年を超える有期契約労働者から、申込みがなされた段階で無期契約に切り換えていく」が最多
  • 「多様な正社員」の導入・増員する予定がある企業か尋ねると、予定がない企業が73.9%

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JIL、HP(http://www.jil.go.jp/institute/research/2016/151.html)より

労働政策研究・研修機構(JIL)が「改正労働契約法とその特例への対応状況及び 多様な正社員の活用状況に関する調査」結果を公表しました。改正労働契約法の無期転換ルール等が施行されてから2年がたち、現時点での企業の対応状況や、無期転換ルールの受け皿として期待される多様な正社員制度等について調査が行われており、参考になると思われますので、今回は、この内容をかいつまんでご紹介したいと思います。

まず、もっとも基本的な無期転換ルールへの対応についてみてみましょう。

この点については、「いずれも『通算5年を超える有期契約労働者から、申込みがなされた段階で無期契約に切り換えていく』がもっとも多く(フルタイム契約労働者を雇用している企業で45.4%、パートタイム契約労働者で50.8%)、これに『対応方針は未定・分からない』(同順に23.9%、26.9%)、『有期契約労働者の適性を見ながら、5年を超える前に無期契約にしていく』(同順に19.6%、11.1%)、『有期契約が更新を含めて通算5年を超えないように運用していく』(同順に6.0%、5.8%)等が続いた」とされました。

こうしてみると、この数年で、無期転換ルールへの対応に変化が読み取れます。

というのも、実は2年前の同様の調査では、「対応方針は未定・分からない」はフルタイム契約労働者を雇用している労働者で38.6%、パートタイム契約労働者で35.3%であったのが約10%減少、また、前回の調査では「有期契約が更新を含めて通算5年を超えないよう運用していく」が14.7%、12.9%であったのが、今回は、それぞれ6.0%、5.8%と半分以下になっています。

施行当時の雑誌記事では、不更新条項の導入がクローズアップされていたのと比べると、企業の考え方がこの数年で変化していることが分かります。

次に「多様な正社員」について、みていきましょう。

「多様な正社員」区分を「今後、新たに導入(既にある場合は増員)する予定があるか尋ねると、73.9%の企業が『導入(増員)の予定はない』と」しています。

その理由(複数回答)については、「『労務管理が煩雑・複雑になる』(52.7%)、『区分間の仕事や処遇・労働条件のバランスの取り方が難しい』(49.2%)が多く挙が」っており、その負担感がハードルとなっているようです。

一方、導入(増員)する理由としては、「『景気回復や少子高齢化等に伴い、必要な労働力の確保に対する危機感が高まっているから』(52.8%)がもっとも多」く、「次いで、『非正社員からの転換を促し、優秀な人材を確保(囲込み)したいから』(36.6%)」などが続いており、人材確保に問題意識のある企業では、多様な正社員制度に前向きなケースが多いようです。

参考リンク

改正労働契約法とその特例に、企業はどう対応しようとしているのか 多様な正社員の活用状況・見通しは、どうなっているのか―「改正労働契約法とその特例への対応状況及び 多様な正社員の活用状況に関する調査」結果―(JIL,HP)

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