世界の労働基準監督署からVOL023:太田労働基準監督署

厚生労働省の「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」が、精神障害の労災認定の基準に関する報告書を公表しました。この報告書は、近年の社会情勢の変化等を踏まえ、認定基準全般について検討を行い、取りまとめたものです。

報告書では、業務による心理的負荷評価表の見直しが行われ、①具体的出来事「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)を追加、②具体的出来事「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」を追加、③心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」となる具体例を拡充(パワーハラスメントの6類型すべての具体例の明記等)など、ハラスメントに関する基準が追加されました。前回の記事でも取り上げましたが、近年の精神障害の労災認定においてはパワーハラスメントが原因とされるケースが多数に及ぶため、さらに詳細な基準を定めたものと思われます。 

次に、精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲について、悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」がない場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したときには、悪化した部分について業務起因性を認めるといった見直しを提案しています。

次に、これまで専門医3名の合議により決定していた事案を1名の意見で決定できるよう変更する提案も行いました。これにより医学意見の収集方法の効率化を図るものです。

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参考リンク

「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(厚生労働省HP)