今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 厚生労働省が平成27年度の「過労死等の労災補償状況」を取りまとめ、公表
  • 脳血管心臓疾患では、業種別にみると請求件数、支給決定件数ともに「運輸業,郵便業」がもっとも多い
  • 精神障害では、職種別にみると請求件数は「事務従事者」、支給決定件数は「専門的・技術的職業従事者」が最も多い

image101厚生労働省が平成27年度の「過労死等の労災補償状況」を取りまとめ、公表しました。

なお、「過労死等」とは、過労死防止法において、「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう。」と定義されています。

今回は、厚生労働省が公表した資料のポイントをみていきましょう。

まず、「脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況」については、請求件数は795 件で、前年度比32 件の増、支給決定件数は251件で前年度比26件の減となり、うち死亡件数も 前年度比25 件減の96件となった。

そのうちわけは、業種別では、請求件数、支給決定件数ともに「運輸業,郵便業」がもっとも多く、職種別でも、請求件数、支給決定件数ともに「輸送・機械運転従事者」が最も多くなっています。

また、年齢別では、請求件数は「 50 ~ 59 歳」 263 件、「60歳以上」233件 の順で多く、支給決定件数は「 50 ~ 59 歳」91件、「 40 ~ 49 歳」80件の順に多くなってます。

これらの業種、職種あるいは年齢層を多く抱える事業者は、このような傾向を把握する必要があるでしょう。

次に、「精神障害に関する事案の労災補償状況」では、請求件数は 1,515 件で、前年度比59 件の増、うち未遂を含む自殺件数は前年度比14件減の199件でした。また、支給決定件数は 472 件で前年度比25 件の減となり、うち未遂を含む自殺の件数も前年度比6件減の93件でした。

業種別では、請求件数、支給決定件数ともに「製造業」が最も多くなっています。

また、職種別では、請求件数は「事務従事者」362件、支給決定件数は「専門的・技術的職業従事者」114件、年齢別では、請求件数は「40 ~49 歳」 459 件、支給決定件数は「40~49歳」147件となっています。

このように、過労死等と精神障害では、業種、年齢層に差があることが分かります。ただし、40代は、過労死等、精神障害ともに多く発生しています。業務上も責任が増し、プライベートでも両親の介護が徐々に始まる年代であるこの層への配慮は、今後ますます重要になってくると思われます。

最後に、出来事別の支給決定件数は、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」75件、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」60 件 の順に多くなっています。

参考リンク

平成27年度「過労死等の労災補償状況」を公表(厚生労働省HP)

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