職業紹介事業等の今後のあり方についての調査・研究事業調査結果報告書が公表されました。本調査は、職業紹介事業者等のテクノロジーの活用の実態を明らかにすることを目的に、アンケート・ヒアリング調査を実施したものです。本報告書には、「雇用仲介に関わる事業者の概況」、「雇用仲介におけるテクノロジーの活用状況」、「テクノロジー活用の進展度に応じた傾向の違い」、「先進的な企業のテクノロジー活用事例」などが盛り込まれています。

雇用仲介に関わる事業者に関する項目では、職業紹介事業と募集情報等提供事業の双方を運営する事業者が、各々4~5割程度存在しており、募集情報等提供事業者においては、通常の求人メディア(92%)に次いで、人材データベース(26%)を提供する事業者が多いことがわかりました。また、アグリゲーター(クローリング型求人メディア)については7%と少ないですが、これを行う事業者の存在感が増しているとのヒアリング意見がありました。

求人者が雇用仲介サービスを選ぶ際には、登録者の質(68%)、数(54%)を重視する一方、マッチング・レコメンド機能は、29%の企業しか重視していないことも報告されました。現時点では、マッチング機能は実際にはあまり当てにされていないのが実態のようです。

次に、テクノロジーの活用によって得られている効果は、いずれの業態でも、「求人企業開拓・求職者確保・入力・管理」の効率化に関わる領域で効果を得ている事業者が多い一方で、「検証」や「マッチング/レコメンド/選考」で効果を得ている事業者は相対的に少ないことがわかりました。求人者もあまりマッチング機能を重視していないとありましたので、この機能はまだ発展途上と理解したほうがよいのかもしれません。ただし「マッチング/レコメンド/選考」は今後強化したい点として多く挙げられており、将来的にはテクノロジーを活用した取組が拡大していく可能性があります。

職業紹介事業者、求人者におけるマッチング/選考は担当者の判断が中心でした。また、募集情報等提供事業者では、自社アルゴリズムの活用が進んでいることがわかりました。

テクノロジー活用の進展度に応じた傾向の違いについては、「情報の取得・入力/管理の効率化」が進み、その後「情報の検証の効率化」(手動・目視以外の検証)「情報の活用(マッチング/レコメンド/選考の質・スピードの向上等)」が進む傾向がありました。また、事業形態によらず、テクノロジー活用が進んでいる事業者の方が、検索機能やアルゴリズムを用いたマッチング/レコメンド/選考を実施しており、特に募集情報等提供事業者ではその傾向が強いことがわかりました。

テクノロジー活用は、リスクへの対応の実施度合いにも違いがみられました。テクノロジー活用が進んでいる方が、「本人同意のない個人情報の取得」などへの対応を実施している傾向が高いことがわかりました。

このように、雇用仲介においてもAIなどのテクノロジーが活用されてきています。まだまだ開発途上の機能もあるようですが、今後ますます参考になる機能になっていくように思われます。

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参考リンク

第357回労働政策審議会(厚生労働省HP)