世界のハローワークからVOL016:ハローワーク市川

令和6年通常国会に雇用保険法の改正法案が提出されました。今回の改正は、多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築、「人への投資」の強化等のため、雇用保険の対象拡大、教育訓練やリ・スキリング支援の充実、育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保等の措置を講ずるものとされています。その概要は以下の通りです。

第1に、これは報道でも大きく取り上げられているものですが、雇用保険の適用拡大です。雇用保険の被保険者の要件のうち、週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に変更し、適用対象を拡大するものです。なお、これにより雇用保険の被保険者及び受給資格者となる者については、求職者支援制度の支援対象から除外しないものとされています。

第2に、教育訓練やリ・スキリング支援の充実です。これには大きく3つの内容があり、①自己都合で退職した者が、雇用の安定・就職の促進に必要な職業に関する教育訓練等を自ら受けた場合には、給付制限をせず、雇用保険の基本手当を受給できるようにすること、②教育訓練給付金について、訓練効果を高めるためのインセンティブ強化のため、雇用保険から支給される給付率を受講費用の最大70%から80%に引き上げること、③自発的な能力開発のため、被保険者が在職中に教育訓練のための休暇を取得した場合に、その期間中の生活を支えるため、基本手当に相当する新たな給付金を創設することです。

なお、①については、通達により、自己都合で退職した者については、給付制限期間を原則2か月としているが、1か月に短縮される予定です。また、②については、省令の改正により、教育訓練受講による賃金増加や資格取得等を要件とした追加給付(10%)を新たに創設される予定です。

第3に、育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保するもので、①育児休業給付の国庫負担の引下げの暫定措置を廃止し、②育児休業給付の保険料率を引き上げつつ(0.4%→0.5%)、保険財政の状況に応じて引き下げ(0.5%→0.4%)られるようにすることとされています。①・②により、当面の保険料率は現行の0.4%に据え置きつつ、今後の保険財政の悪化に備えて、実際の料率は保険財政の状況に応じて弾力的に調整できるようにします。

第4に、その他雇用保険制度の見直しとして、①教育訓練支援給付金の給付率の引下げ(基本手当の80%→60%)およびその暫定措置の令和8年度末までの継続、②介護休業給付に係る国庫負担引下げ等の暫定措置の令和8年度末までの継続、③就業促進手当の所要の見直し等を実施することとされています。

改正法は令和7年4月1日に施行されます。ただし、第3の①および4の一部は公布日に施行、第2の②は令和6年10月1日に施行、2の③は令和7年10月1日施行、そして、今回の改正の目玉となる適用拡大は令和10年10月1日に施行される予定です。

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参考リンク

第213回国会(令和6年常会)提出法律案(厚生労働省HP)