従前から予告されていた雇用調整助成金の特例の拡充に関して詳細をまとめたリーフレット等が公開されました。 この拡充措置の対象となるんは、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主で、令和2年4月1日から令和2年6月30日まで(緊急対応期間)の休業等に適用されます。
助成内容の拡充措置は次の通りです。
- 休業又は教育訓練を実施した場合の助成率を中小企業で2/3から4/5へ、大企業で1/2から2/3へ引き上げ
- さらに以下の要件を満たし、解雇等しなかった事業主に助成率を中小企業で4/5から9/10へ、大企業で2/3から3/4へ引き上げ
- 1月24日から賃金締切期間(判定基礎期間)の末日までの間に事業所労働者の解雇等 (解雇と見なされる有期契約労働者の雇止め、派遣労働者の事業主都合による中途契約解除等を含む。)をしていないこと
- 賃金締切期間(判定基礎期間)の末日における事業所労働者数が、比較期間(1月24日 から判定基礎期間の末日まで)の月平均事業所労働者数と比して4/5以上であること
- 教育訓練を実施した場合の加算額を中小企業で2,400円、大企業で1,800円に引き上げます。また、自宅でインターネット等を用いた教育訓練もできるようになります。
- 新規学卒採用者など、雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が6か月未満の 労働者についても助成対象としています(本特例は、休業等の初日が令和2年1月24日以降の休業等に適用されています。) 。
- 「緊急対応期間」に実施した休業は、1年間に100日の支給限度日数とは別枠で利用できます。
- 週20時間未満の労働者(パート、アルバイト(学生も含む)等)などの雇用保険被保険者でない労働者も休業の対象とします。
また、受給のための要件も更に緩和されました。
- 生産指標の要件が次のように緩和されます
- 生産指標の確認は提出があった月の前月と対前年同月比で10%の減少が必要でしたが、対象期間の初日が緊急対応期間である令和2年4月1日から令和2年6月30日までの間は、これを5%減少とします。
- 生産指標の確認期間を3か月から1か月に短縮しています。(生産指標の確認は提出があった月の前月と対前年同月比で確認されます。)
- 最近3か月の雇用量が対前年比で増加していても助成対象とされます
- 過去に雇用調整助成金を受給したことがある事業主について、前回の支給対象期間の満了日から1年を経過していなくても助成対象となります。
- 事業所設置後1年以上を必要とする要件が緩和されます(この場合の、生産指標の確認は提出があった月の前月と令和元年12月を比べます。)
- 休業等の延べ日数が対象労働者に係る所定労働日数の1/20(中小企業)、1/15(大企 業)以上となる必要がありましたが、これを1/40(中小企業)、1/30(大企業) 以上に緩和されます。
さらに、次の3点の見直しがあります。
- すでに休業を実施し、休業手当を支給している場合でも、令和2年6月30日までは、事後に 提出することが可能です。(生産指標の確認は提出があった月の前月と対前年同月比で確認します。)
- 短時間休業については、従来、事業所等の労働者が一斉に休業する必要がありましたが、事業所内の部門、店舗等施設毎の休業も対象とする等緩和し、活用しやすくなります。
- 支給対象となる休業等から時間外労働等の時間を相殺して支給すること(残業相殺)を 当面停止します。
このように、雇用調整助成金に関して大幅な拡充と要件緩和が行われました。そのほか、厚労省HPでは申請書類の簡素化等も発表されていますので、利用を検討している事業所は、確認するようにしてください。