厚生労働省が、雇用調整助成金について、判定基礎期間の初日が令和4年4月1日以降の休業等について、適正に確認を行うための制度変更を発表しました。主な内容は以下の3点です。

  1. 業況特例における業況の確認を毎回(判定基礎期間(1ヶ月単位)ごと)行います。
  2. 最新の賃金総額(令和3年度の確定保険料)から平均賃金額を計算します。
  3. 休業対象労働者を確認できる書類および休業手当の支払いが確認できる書類の提出をお願いします。

1については、すでに、令和3年12月末までに業況特例を利用している(=業況の確認を既に行った)事業主が、判定基礎期間の初日が令和4年1月1日以降の休業等について申請を行う場合は、最初の申請において、業況特例の対象となることについて、業況の再確認を行うため売上等の書類の再提出が必要になっていますが、判定基礎期間の初日が令和4年4月1日以降の休業等について業況特例の申請を行う全ての事業主は、申請の都度、業況の確認を行うことになります。そのため、売上等の生産指標の提出が必要になります。その際、提出する生産指標は、最新の数値を用いて判断することになります(原則として生産指標を変更することはできません。)。

2については、コロナ特例が長期間にわたり継続される中、平均賃金額は初回に算定したものを継続して活用していることから、見直しを図るとされ、賃金総額を「最新の額」に変更して平均賃金額を計算することになりましす。また、企業規模の変更を希望する場合、常時雇用する労働者の数、資本の額等により確認を行います。

なお、「最新の額」とは、労働保険の令和3年度の確定保険料の算定に用いる賃金総額、または、令和3年度または令和4年度の任意の月に提出した給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書に記載の額です。

3については、助成金の審査を適切に行い、早期に支給ができるよう、以下の確認書類の提出が必要となります。確認書類等の提出がなく、実態の確認ができない場合、不支給となる可能性があります。

表中の確認書類は以下の通りです。

  1. 休業対象労働者全員の氏名、年齢および住所が確認できる住民票記載事項証明書(マイナンバーは不要です)、運転免許証、マイナンバーカード表面等の書類の写し
  2. 休業手当を含む給与の支払いが確認できる以下のAおよびBの書類の写し
    Ⓐ源泉所得税の直近の納付を確認できる書類(給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書の領収日印があるものなど、納付を確認できる書類)
    Ⓑ給与振込を確認できる書類(給与振込依頼書や給与支払いを確認できる通帳など。手渡し(現金払い)の労働者がいる場合は会社名・金額・氏名(労働者の直筆)・住所・電話番号・受領日を明記した領収証)

このほかにも不正受給への対応を厳格化することが発表されています。不正受給を行った事業所名等の積極的な公表、予告なしの現地調査のほか、捜査機関との連携強化を行うとしています。不正受給は、刑法第246条の詐欺罪等に問われる可能性があります。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)(厚生労働省HP)