厚生労働省は、8月31日から、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引き上げを図る中小企業・小規模事業者の生産性向上に向けた取り組みを支援するための「業務改善助成金」制度の拡充を行うと発表しました。

本助成金は、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、生産性を向上するための設備投資などを行う中小企業・小規模事業者を対象に、設備投資などに要した費用の一部を助成するものです。改正の概要は以下の通りです。

  • 対象となる事業場を、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内の事業場から50円以内の事業場に拡大しました。
  • 一定の条件を満たす事業者は賃金引き上げ後の申請が可能になりました。
    • 事業場規模50人未満の事業場の申請を行う事業者について、令和5年4月1日から令和5年12月31日の間に賃金引き上げを実施した場合に賃金引き上げ後の申請が可能となります。
  • 助成率の区分となる金額の引き上げ
    1. 助成率9/10←事業場内最低賃金が870円未満から900円未満に拡大
    2. 助成率4/5(9/10)←事業場内最低賃金が870円以上920円未満から900円以上950円未満に拡大
  • 助成率3/4(4/5)←事業場内最低賃金が920円以上から950円以上に拡

※()内は生産性要件を満たした事業者の場合です。「生産性」とは、企業の決算書類から算出した労働者1人あたりの付加価値を指し、助成金の支給申請時の直近の決算書類に基づく生産性と、その3年度前の決算書類に基づく生産性を比較し、伸び率が一定水準を超えている場合等に、加算して支給します。

本助成金は、賃金引上げが助成対象となるため、しばしば最低賃金の引上げの支援策として紹介されます。そこでポイントになるのが「事業場内最低賃金」というものです。事業場内最低賃金とは、事業場で最も低い時間給を指します(業務改善助成金では、雇入れ後3か月を経過した労働者の事業場内最低賃金を引き上げる必要があります。)。事業場内最低賃金の計算方法は、地域別最低賃金と同様のルールで算定されます。

賃金引上げのルールは次の通りです。

  • 全ての労働者の賃金を新しい事業場内最低賃金以上まで引き上げること
  • 賃金を引き上げる労働者数に応じて助成上限額が変動すること
  • 事業場内最低賃金の者以外でも、申請コースの額以上賃金を引き上げた場合は引上げ人数にカウントされる場合があること。

たとえば、事業場内最低賃金900円、30円コースの場合には、全労働者の賃金を930円以上へ引き上げる必要があります。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

業務改善助成金(厚生労働省HP)