世界の年金事務所からvol008:墨田年金事務所

前回から、パート・アルバイトの労働者が、繁忙期に労働時間を延ばすなどにより、収入が一時的に上がったとしても、事業主がその旨を証明することで、引き続き扶養に入り続けることが可能となる仕組みに関する詳細な内容を定めたQ&Aを取り上げています。

今回はこの措置の対象の範囲を定めたQ&Aからみていきましょう。今回の特例措置の対象は、配偶者(国民年金第3号被保険者)だけではなく、学生も含め、社会保険の被扶養者、新たに被扶養者としての認定を受けようとしている者、シフト制勤務者も対象となります。

さらに被扶養者が60歳以上の者である場合またおおむね障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合の、年間収入が180万円未満であるか否かの判定についても適用されます。

一方、特定の事業主と雇用関係にないフリーランスや自営業者の方は対象となりません。ただし、フリーランスとしての収入と勤務先からの給与収入の両方がある者について、給与収入が一時的な収入変動で増加したことにより被扶養者の認定基準額を超えた場合は、対象になります。

事業主の証明は、新たに被扶養者の認定を受ける際や健康保険組合等の保険者が被扶養者の資格確認を行う際などに、年間収入が確認されることになりので、この際に、「被扶養者を雇う事業主」から取得し、「被保険者が勤務している会社」を通じて健康保険組合等に対して、通常提出が求められる書類と併せて、提出することになります。したがって、被扶養者の収入確認のタイミングに合わせて、被扶養者の勤務先の事業者から一時的な収入変動である旨の証明を取得してください。

どの期間に対応する収入について、事業主に一時的な収入変動である旨を証明して貰えば良いのかについては、以下のような事例を示しています。

(ケース1)
○ 毎年11月に被扶養者の収入確認が行われており、直近3ヶ月分の収入証明(雇用契約書、収入証明書等)の提出を求めている健康保険組合
⇒ 令和5年11月の被扶養者の収入確認時に、令和5年8~10月分の期間における一時的な収入変動に係る事業主の証明を提出

この事例のように、健康保険組合が求める証明期間にあわせて、作成することになります。一方、一定の基準を越えたら申出をすることになっている健康保険組合では、「一時的に増加した収入も含めて130万円以上の収入となったときに、通算した期間における一時的な収入変動に係る事業主の証明を添えて健康保険組合に相談」とされています。

なお、事業主の証明を提出したとしても、「雇用契約書等を踏まえ、年間収入の見込みが恒常的に130万円以上となることが明らかであるような場合には、被扶養者に該当しなくなることとな」るのは当然といえます。

また、本特例は健康保険の被扶養者や国民年金第3号被保険者の認定に限った取り扱いであるため、税の扶養控除の適用要件や会社の扶養手当(配偶者手当、家族手当等)の受給要件の認定とは直接関係はありません。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

年収の壁・支援強化パッケージ(厚生労働省HP)