今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 10月1日に厚生年金保険の標準報酬月額等級の下限が見直されることにともない、低報酬の被保険者向けの特例の随時改定に関する通達が発出

10月1日に厚生年金保険の標準報酬月額等級の下限が見直されることになっており、同年9月の標準報酬月額が9万8千円であって、当該標準報酬月額の基礎となった報酬月額が9万3千円未満である者の標準報酬月額については、日本年金機構の「職権」により、新たに設けられた標準報酬月額へ改定されることになっています。

しかし、被保険者に固定的賃金の変動がありながら、標準報酬月額に2等級以上の差が生じないために随時改定の対象とならず、「被保険者報酬月額変更届」の提出がされないことにより、実際に被保険者が受けている報酬と平成28年10月に適用される標準報酬月額との間に乖離が生ずる場合があるため、このような場合には、「平成28年10月から標準報酬月額を改定されるべき者」として、平成28年10月において、下記のとおり特例的な随時改定を行うこととされました。

そこで、今回は、改正に伴い発出された行政通達を元に、その内容についてみていくことにしましょう。

通達によれば、日本年金機構は、平成28年9月の標準報酬月額が9万8千円の者であって、次のいずれかに該当するものについて申し出があった場合は、被保険者報酬月額変更届の提出を受けることにより、同年10月に、当該者に係る標準報酬月額の随時改定を行うこととされました。

(1)平成 28 年9月の標準報酬月額の算定の基礎となった報酬月額が8万3千円未満である場合

  • 5月に固定的賃金の変動があり、同月から同年7月までの3ヶ月間に支給された報酬を算定の基礎とした報酬月額が9万3千円以上 10 万1千円未満である者
  • 6月に固定的賃金の変動があり、同月から同年8月までの3ヶ月間に支給された報酬を算定の基礎とした報酬月額が9万3千円以上 10 万1千円未満である者
  • 7月に固定的賃金の変動があり、同月から同年9月までの3ヶ月間に支給された報酬を算定の基礎とした報酬月額が9万3千円以上 10 万1千円未満である者

(2)平成 28 年9月の標準報酬月額の算定の基礎となった報酬月額が9万3千円以上 10 万1千円未満である場合

  • 5月に固定的賃金の変動があり、同月から同年7月までの3か月間に支給された報酬を算定の基礎とした報酬月額が8万3千円未満である者
  • 同年6月に固定的賃金の変動があり、同月から同年8月までの3か月間に支給された報酬を算定の基礎とした報酬月額が8万3千円未満である者

今回の特例的随時改定の対象になる被保険者は非常に少なく、それだけに手続きを失念しやすいと思われますので、念のため、対象となる報酬月額の従業員については確認をするようにしましょう。

参考リンク

公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う標準報酬月額の改定に係る特例的な取扱いについて(平成28年9月30日年管管発0930第1号)(厚生労働省HP、PDF)

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