image104厚生労働省によれば、平成26年1月~6月の労働災害発生状況(速報値)は、死亡者数は対前年比19.4%(71人)の増加、休業4日以上の死傷者数は対前年比3.6%(1,625人)の大幅な増加となりました(画像をクリックすると拡大表示されます)。

その理由について、厚生労働省は、①平成 26 年2月の2回の大雪による交通労働災害や転倒災害の増加、②消費税増税前の駆け込み需要等に伴う生産活動や物流量の増加が主な要因として考えられるとしています。しかし、4月以降の死亡災害、死傷災害の発生状況をも対前年を上回る傾向にあることから、消費税増税に伴う駆け込み需要の反動も和らぎつつあり、今後景気が緩やかに回復していくことが期待されることから、労働災害防止に向けた速やかな対策の実施が必要になっているとしています。

このような状況を受けて、厚生労働省は、平成26年上半期の死亡災害の大幅な増加を受け、労働災害のない職場づくりに向けた緊急対策を実施することを発表しました。

緊急対策の柱は、以下の2点です。

1 業界団体などに対する労働災害防止に向けた緊急要請

以下の緊急要請を厚生労働省労働基準局安全衛生部長名で実施することとしています。

(1)産業界全体に対する企業の安全衛生活動の総点検の要請

経済活動の一層の活発化が見込まれる中で労働災害の増加が懸念されることから、産業界全体(約250団体)に対し、企業の安全衛生活動の総点検と労使・関係者が一体となった労働災害防止活動の実施を要請。

(2)労働災害が増加傾向にある業種に対する具体的な取組の要請

特に労働災害が増加している業種(製造業、建設業、陸上貨物運送事業、小売業、社会福祉施設、飲食店)に対しては、以下の通り、労働災害防止のための具体的な取組 内容を示し、その確実な実施を要請。

(製造業)

  • 製造業の中でも災害件数が多い食料品製造業を対象として、食品加工用機械による「はさまれ・巻き込まれ」、「切れ・こすれ」などの災害防止のための事業者自身による点検や対策ならびに新規雇入れ時教育の徹底
  • 暑熱時期の熱中症予防対策の徹底

(建設業)

  • 「墜落・転落」と「はさまれ・巻き込まれ」による災害防止のための点検・対策の実施
  • 暑熱時期の熱中症予防対策の徹底

(陸上貨物運送事業)

  • 災害が最も多いトラックからの「墜落」に的を絞り、業界団体の連携による トラックドライバーなどに対する周知啓発活動の展開
  • 平成25年3月に策定した「荷役作業の安全対策ガイドライン」の周知状況と取組実施状況(特に荷主との連絡調整などの状況など)についての事業者自身による点検や対策の実施

(第三次産業(小売業、社会福祉施設、飲食店))

  • 危険に対する「気づき」を促し、安全意識を高めるため、各職場における安全活動の活性化[危険予知(KY)活動、職場内の危険マップ作り]の促進と、「安全推進者(=安全の担当者)」の配置
  • 社会福祉施設に対する腰痛予防対策の周知・啓発

2 都道府県労働局、労働基準監督署による指導

都道府県労働局と労働基準監督署において、労働災害防止団体などと連携した安全パトロールを実施するほか、事業場が自ら実施した安全点検の結果などを踏まえた指導などを実施平成26年8月1日開催の全国健康安全主務課長会議で指示)

行政の取締りへの対応ということ抜きにしても、労働者の安全対策は企業の安定した経営に不可欠な事項です。下記関連サイトにはさらに詳しい資料がありますが、「重点業種別の対策」では、業種ごとの労働災害防止策が掲載されており参考になります。

ただし、統計はあくまで一般的な傾向であることに注意が必要でしょう。自社特有の危険があることも十分考えられますので、効果を上げるためには、職場全体で安全対策を検討する必要があります。

■関連リンク

「労働災害のない職場づくりに向けた緊急対策」を実施

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