キャリアアップ助成金「正社員化コース」が拡充されました。今回の制度改正は、2023年11月29日以降の正社員転換からが対象となります。

「キャリアアップ助成金」は、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成金を支給する制度です。キャリアアップ助成金の対象となる正社員は「長期雇用を前提とした待遇が正社員に適用されていること」が要件とされています。 具体的には、就業規則等に基づき、以下のいずれもが、申請事業所の正社員に適用されていることを要件としています。

  • 賞与または退職金の制度 のいずれか1制度以上
  • 昇給

なお、正社員転換後6か月の間に、賞与や昇給の実績がない場合であっても、正社員に適用される就業規則等に「賞与または退職金制度」かつ「昇給」の規定を確認することができれば、支給対象となり得ます。ただし、就業規則等に沿った運用がなされていない場合(例:6月に賞与支給と規定されているが、当該月に支給されていない等)、必要に応じて合理的な説明を求める場合があります。

今回の改正では、次のような見直しが行われました。

第1に、支給対象期間を現行の「6か月」から「12か月」に拡充されました。拡充に伴い、6か月あたりの助成額が見直されました。

現行では、中小企業の場合、1期(6か月)で57万円助成されているところ、拡充後は中小企業の場合、2期(12か月)で80万円(1期あたり40万円)に引き上げられます(有期から正規の場合の助成額。無期から正規の場合は上記の半額)。また、1人目の正社員転換時には、第3または第4の加算措置があります。

第2に、対象となる有期雇用労働者の雇用期間を現行の「6か月以上3年以内」から「6か月以上」に緩和されます。ただし、有期雇用期間が通算5年を超えた有期雇用労働者については、助成額は「無期から正規」の転換と同額となります。

なお、第2期目の申請においては、第1期と比較して賃金に減額がないこと、第1期同様、通常の正社員に適用される労働条件が全て適用されていることを確認します。転換(直接雇用)した者に限って不合理な取扱いの差が生じることの無いよう、ご留意ください。ここで「賃金」とは、基本給および定額で支給されている諸手当を含む賃金の総額をいいます。実費弁償的なものや毎月の状況により変動することが見込まれる等、実態として 労働者の処遇が改善しているか判断できない手当は賃金の総額から除きます。

第3に、新たに正社員転換制度の導入に取り組む事業主に対する加算措置を新設されます。なお、「無期から正規」の転換制度を新たに規定した場合も同額が加算されます。

第4に、多様な正社員(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)制度規定に関する加算額が増額されます。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

キャリアアップ助成金(厚生労働省HP)