世界の年金事務所からVOL19:高崎年金事務所

以前取り上げた社会保険適用促進手当に関するQ&Aが更新されました。今回は新たに追加された部分についてみていくことにしましょう。

Q2-6 以前からの勤め先ですでに社会保険に加入していますが、別の事業所でも加入要件を満たしたため社会保険に加入します。新たに社会保険に加入する事業所で社会保険促進手当の支払いを受けますが、今回の措置(社会保険適用促進手当の標準報酬算定除外)の対象となるのでしょうか。
A2-6 複数の事業所に勤務し、各事業所において社会保険の加入要件を満たしている被保険者については、事業所ごとで今回の措置の対象となるのか確認します。 そのため、新たに社会保険に加入する事業所で、当該事業所の報酬のみで標準報酬月額を算出したならば、その額が10.4万円以下である場合には、今回の措置の対象となります。

社会保険は2以上の事業所でそれぞれ加入要件を満たしている場合には、それぞれの事業所で加入することになります。このときの標準報酬月額は加入している事業所での報酬得月額を合算して算定されますが、本手当の対象になるかどうかの判断にあたっては、それぞれの事業所の報酬のみで考えることが示されました。

Q2-7 社会保険適用促進手当は、各労働者について最大2年間、標準報酬月額・標準賞与額の算定において考慮しないとのことですが、同手当の対象となっていた労働者が退職し、一定期間経過後に同一事業所で再度雇用された場合、標準報酬等の算定に考慮しない期間はどのように取扱われますか。
A2-7 同一事業所で一定期間経過後に再度雇用された場合は、それぞれの被保険者期間で2年が経過するまで算定に考慮しない措置の対象となります。 なお、同日得喪で被保険者資格が継続している場合は、通算して2年が経過するまで算定に考慮しない措置の対象となります。

一旦退職した後に再度雇用された場合の取り扱いを明らかにしたものです。この場合、それぞれの被保険者期間で2年をカウントすることとされました。これによって、同一人物に特例措置が2年以上適用されるケースも想定されることになりました。

Q2-8 厚生年金又は健康保険のいずれか片方のみに加入している場合であっても、今回の措置(社会保険適用促進手当の標準報酬算定除外)の対象となるのでしょうか。
A2-8 70歳以上で健康保険のみに加入している場合等、厚生年金又は健康保険のいずれか一方の制度のみに加入している場合も今回の措置の対象となります。 なお、この場合は標準報酬月額等の算定の対象から除くことができるのは、加入している制度に係る被保険者本人負担分が上限となります。

70歳以上の方は厚生年金保険の被保険者になることはできませんが、健康保険には75歳に達するまで加入することができます。このように片方の保険にのみ加入する場合であっても、措置の対象となります。

Q3-6 社会保険適用促進手当について、労働者が標準報酬月額・標準賞与額の算定から除くことを希望しない場合は、手当を含めて標準報酬月額・標準賞与額を算定してよいでしょうか。
A3-6 今回の社会保険適用促進手当の特例(社会保険料の算定に当たって標準報酬月額等に含めない取扱い)は、労使双方の合意を前提に活用いただくものとなりますが、事業主が労働者の保険料負担を軽減するために支給する手当であっても、労働者の希望を確認した上で標準報酬月額等の算定の対象から除かない場合は、「社会保険適用促進手当」以外の名称を使用し、支給いただくようお願いします。

あえて、「特例措置」を受けないことを希望する従業員については、「社会保険適用促進手当」とは別の名称の手当を支給するよう「お願い」する内容です。

Q3-12 社会保険適用促進手当は、傷病手当金や出産手当金との調整の対象となる報酬に含まれますか。
A3-12 社会保険適用促進手当については、傷病手当金等の支給額算出の基礎となる標準報酬月額の算定に考慮しないことから、傷病手当金等との調整対象となる報酬には含まれません。

Q3-13 在職老齢年金制度によって、厚生年金保険の適用事業所で就労し、一定以上の賃金(標準報酬月額・標準賞与額)を得ている60歳以上の老齢厚生年金の受給者は、賃金(標準報酬月額・標準賞与額)に応じて老齢厚生年金の一部または全部が支給停止されますが、支給停止額の算定に当たって社会保険適用促進手当は考慮されるのでしょうか。
A3-13 社会保険適用促進手当は、標準報酬月額・標準賞与額の算定に考慮しないことから、在職老齢年金制度による支給停止額の算定においても考慮されません。

社会保険促進手当は標準報酬の算定に含めないため、各種給付には反映されないことは、既に明らかになっているところですが、上記の2つの設問により、給付の調整の対象にもならないことが示されました。

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参考リンク

年収の壁・支援強化パッケージ(厚生労働省HP)