キャリアアップ助成金が令和5年11月29日に制度改正されました。また、これに関連するQ&Aも公開されています。そこで、ここでは「正社員化コース」の変更点についてみていきます。

今回の制度改正では、対象となる有期雇用労働者の雇用期間を現行の「6か月以上3年以内」から「6か月以上」に緩和されました。これまで、通算契約期間が3年を超える有期雇用労働者については、無期雇用労働者に転換した上での正社員化でないと、本コースの活用ができませんでした。この度の改正によって、事業所において比較的長く(3年超)雇用されている有期雇用労働者の方についても、本助成を利用しやすくなります。

なお、有期雇用の派遣労働者の場合も、同様に有期雇用契約が3年を超えている労働者について、対象労働者に該当するものとなります(Q&A2)。ただし、派遣労働者の場合は、派遣可能期間のルール(いわゆる派遣法の3年ルール)を遵守している派遣契約からの直接雇用である場合にのみ助成対象となります。

次に、支給対象期間を現行の「6か月」から「12か月」に拡充し、拡充に伴い、6か月あたりの助成額が見直されることになりました。

なお、令和5年11月29日以降に、正社員化(転換・直接雇用)した者の支給申請から、2期制の支給申請の対象となり、転換後6か月分の賃金支給日の翌日から2か月間が第1期申請期間、その後の 6か月分(7~12か月目分)の賃金支給日の翌日から2か月間が第2期申請期間となります。

なお、第2期目の申請においては、第1期と比較して賃金に減額がないこと、第1期同様、通常の正社員に適用される労働条件が全て適用されていることが確認されます(Q&A4)。

次に、新たに正社員転換制度の導入に取り組む事業主に対する加算措置が新設されます。

この措置の対象となるのは、令和5年11月29日以降に対象労働者を転換等する場合であって、当該対象労働者を転換等するための規定が存在しなかった事業主が、新たに規定を整備して転換等を行った場合から、となります。

また、多様な正社員(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)制度規定に関する加算額が増額されます。

多様な正社員には、以下の雇用区分が該当します。

  • 「勤務地限定正社員」・・転勤範囲が限定されていたり、転居を伴う転勤がない正社員のこと
  • 「職務限定正社員」・・・高度な専門性を必要とする業務や資格が必要な職務に従事し、専門的に当該職務に従事する正社員のこと
  • 「短時間正社員」・・・・フルタイム正社員と比較して、週の所定労働時間が短い正社員のこと

留意点としては、いずれの雇用区分であっても、多様な正社員ではない、通常の正社員と異なる賃金の算定方法等や待遇は原則として認められないことです。したがって、給与の算出、支給形態が異なる(通常の正社員は月給制、多様な正社員は時給制)とか、基本給、賞与、退職金等、賃金の算定方法が異なるなどの場合は、この加算の対象外となります。

なお、規定整備日は、原則として規定を施行した日(周知日)となりますが、客観的に整備した日が分かるよう、就業規則に規定する際には、施行後速やかに監督署に届け出ることが必要です(Q&A6)。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

キャリアアップ助成金(厚生労働省HP)