本写真は記事には関係ありません。

厚生労働省がモデル就業規則を改定し、公開しました。今回の改正は、「経済財政運営と改革の基本方針2023 加速する新しい資本主義~未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現~」(いわゆる「骨太方針」)において、「『成長分野への労働移動の円滑化』については、・・・自己都合退職の場合の退職金の減額といった労働慣行の見直しに向けた「モデル就業規則」の改正や退職所得課税制度の見直しを行う」としたことを受けて行われた、退職金に関する規定の見直しです。本規定の旧規定(令和5年4月版)では以下のように定められていました。

(退職金の支給)
第54条  勤続  年以上の労働者が退職し又は解雇されたときは、この章に定めるところにより退職金を支給する。ただし、自己都合による退職者で、勤続  年未満の者には退職金を支給しない。また、第67条第2項により懲戒解雇された者には、退職金の全部又は一部を支給しないことがある。

令和5年7月分では、次にように修正されました。

(退職金の支給)
第54条 労働者が退職し又は解雇されたときは、この章に定めるところにより退職金を支給する。ただし、第68条第2項により懲戒解雇された者には、退職金の全部又は一部を支給しないことがある。

このように、勤続期間が短期間の自己都合退職者について退職金を支給しないとする部分を削除し、退職金に関して自己都合退職者に不利にならないように改定したものです。しかしそのきっかけは、政府の労働力の流動化を図ることを企図したものにすぎないことは強調しておきたいと思います。

つまり、今回のモデル就業規則の改定は、特に法令上の義務をともなうような性質のものではありませんので、これをきっかけに自社の退職金制度を見直す義務は全くありません。せいぜい、自社の退職金制度の目的を一度見直してみるくらいで十分でしょう。

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参考リンク

モデル就業規則について(厚生労働省HP)