いわゆる「年収の壁」への対応として、社会保険の被保険者ではない有期契約労働者等が、就業調整を行うことなく働くことができる環境づくりのため、当面の対応として、キャリアアップ助成金について制度の見直しが行われ、「社会保険適用時処遇改善コース」が新設される予定です。今回は、本助成金の概要についてみていきます。なお、本記事は厚生労働省の資料を基に作成していますが、今後変更がある場合があることに留意してください。

本論に入る前に、現行の「短時間労働者労働時間延長コース」について確認しておきましょう。「短時間労働者労働時間延長コース」は、有期契約労働者等について、週所定労働時間を延長したことにより当該有期契約労働者等が新たに社会保険の被保険者となった場合における当該措置を講じた事業主に対して、助成金が支給されています。

また、令和6年9月30日までの暫定措置として、その雇用する有期契約労働者等について、①週所定労働時間を3時間以上、または、週所定労働時間を1時間以上3時間未満延長するとともに、②賃金を一定の割合以上増額させたことにより有期契約労働者等が新たに社会保険の被保険者となった場合に、一年度に45人を上限として助成金が支給されています。

今回の改正では、上記の暫定措置の期限を令和6年3月31日までとするとともに、その雇用する有期契約労働者等が新たに社会保険の被保険者となる場合に一定の措置を講じた事業主または一定の措置を講じたことによりその雇用する有期契約労働者等が新たに社会保険の被保険者となった場合における当該措置を講じた事業主に対して助成金を支給するコースを新設することとされました。

本改正による改正後の規定は、地域別最低賃金の最も早い発効日である令和5年10月1日に遡及して適用することとされていますが、同日から令和6年3月31日までの間は、現行制度における暫定措置の適用を選択することも可能となります。

なお、本助成金(社会保険適用時処遇改善コース)は令和8年3月31日までの暫定措置となる予定です。

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参考リンク

雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案に関する御意見の募集について(e-gov)