世界の労働基準監督署からVOL021:足利労働基準監督署

労働基準法施行規則等の改正省令・改正告示等の具体的な取扱い等のうち、無期転換ルール・労働契約関係の明確化等について、詳しい解釈を示した通達(施行通達)が発出されました。以下では、その概要をみていくことにします。

はじめに、労基法15条1項前段の規定に基づいて明示しなければならない労働条件として、労契法18条1項に規定する通算契約期間または有期労働契約の更新回数の上限が追加されました。

また、同項前段の規定に基づいて明示しなければならない労働条件として、就業の場所および従事すべき業務の変更の範囲が追加されました。ここで「就業の場所および従事すべき業務」とは、労働者が通常就業することが想定されている就業の場所および労働者が通常従事することが想定されている業務をいい、配置転換および在籍型出向が命じられた場合の当該配置転換および在籍型出向先の場所・業務が含まれるとされていますが、臨時的な他部門への応援業務や出張、研修等、就業の場所及び従事すべき業務が一時的に変更される場合の当該一時的な変更先の場所及び業務は含まれないとされました。このように、変更の範囲といってもどこまで定めなければならないのかという点については、あいまいさはありますが、一応線引きが行われたといえます。

次に、「変更の範囲」とは、今後の見込みも含め、当該労働契約の期間中における就業の場所および従事すべき業務の変更の範囲をいうものとされました。

テレワークについては、労働者がテレワークを行うことが通常想定されている場合には、テレワークを行う場所が就業の場所の変更の範囲に含まれます。

なお、就業の場所および従事すべき業務の変更の範囲は、有期労働契約を含む全ての労働契約の締結の際に明示する必要があるとされています。

次に、その契約期間内に無期転換申込権が発生する有期労働契約の締結の場合をみていきます。この場合においては、無期転換申込みに関する事項および無期転換後の労働条件(雇入れ時の労働条件の明示と同項目)を明示しなければならないものとされました。

このうち「無期転換申込みに関する事項」とは、労契法第18条に規定する無期転換ルール(有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合は、有期契約労働者の申込みにより無期労働契約に転換させる仕組み)に基づき、無期転換申込権を有することをいうとされています。

なお、無期転換後の労働条件の明示については、明示すべき有期労働契約の労働条件からの変更の有無および変更がある場合はその内容を明示する方法で行うことも差し支えないとされています。また、この明示は、無期転換申込権が生じる有期労働契約の更新時および労働者による無期転換申込権の行使による無期労働契約の成立時にそれぞれ行うことになります。

有期労働契約の更新時に、無期転換後の労働条件の明示を、明示事項ごとにその内容を示す方法で行った場合であって、次の事項が全て同じである場合には、無期労働契約の成立時にその旨を書面の交付等の方法により明示することとしても差し支えないとされています。

  • 明示した無期転換後の労働条件
  • 無期転換申込権の行使によって成立する無期労働契約の労働条件

上記の労働条件のうち、無期転換申込権が発生する有期労働契約の締結の場合において書面の交付による明示が必要なのは、「無期転換申込みに関する事項」および無期転換後の労働条件のうち雇入れ時の書面明示事項(契約更新基準を除く)です。

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参考リンク

令和5年改正労働基準法施行規則等に係る労働条件明示等に関するQ&A(厚生労働省HP)