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協会けんぽの令和5年度の保険料決定に向けて、全国健康保険協会運営委員会が開催されました。

公表された資料によれば、令和3年度決算は、収入が11兆1,280億円、支出が10兆8,289億円となり、前年度減少していた医療費が新型コロナウイルス感染拡大前の水準を上回り、支出が大きく増加した。このことにより、収支差はに2,991億円と前年度の6,183億円から大幅に減少しました。

協会けんぽの今後の財政については、医療費の伸びが賃金の伸びを上回るという財政の赤字構造が解消されていないことに加え、以下の要因により楽観を許さない状況であることが、資料で指摘されています。

  • 被保険者数の伸びが平成29年9月をピークに鈍化傾向にあることや、世界情勢の悪化に伴う資源価格の高騰等で不透明さが増す経済状況により、コロナ禍前のような保険料収入の増加が今後も続くとは期待できないこと。
  • 医療給付費がコロナ禍前の水準を上回って推移していることや、令和5年度以降は後期高齢者支援金の一層の増加により、支出の増加が見込まれていること。
  • 健康保険組合の令和4年度予算早期集計では、約7割の組合が赤字を計上している。今後、協会けんぽと同様に、団塊の世代の75歳到達により後期高齢者支援金が急増することが見込まれ、財政状況の悪化した組合が解散を選択し協会けんぽに移る事態が予想されること。
  • 高額な医薬品や再生医療等製品の薬価収載およびそれらの収載後の効能・効果の追加による処方患者数の増加等伸びに大きく影響する不確定要素が存在すること

こうした状況も踏まえながら、今後の財政状況を見通す観点から5年収支見通し等の財政状況に関するシミュレーションを行ったところ、平均保険料率10%を維持した場合であっても、数年後には準備金を取り崩さなければならない見通しとなっているとされました。

このため、令和5年度及びそれ以降の保険料率のあるべき水準について、どのように考えるかが今後議論されることになる見込みです。

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参考リンク

第120回全国健康保険協会運営委員会資料(協会けんぽHP)