6月12日の第9回今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会において、本研究会の報告書(案)が示されました。そこで、今回はその報告書案で示された、育児介護休業法等の改正動向をみていきましょう。

はじめに、「子の年齢に応じた両立支援に対するニーズへの対応」では、①3歳になるまでについては、育児休業制度や短時間勤務制度の利用を可能としながら、テレワークや短時間勤務制度の柔軟化により、フルタイム勤務に近い形態で能力を発揮していくことが可能になるよう柔軟な制度利用を促していくこと、②3歳から小学校就学前までについては、柔軟な働き方の選択肢を増やすことや、残業をしない働き方を可能とすること、③小学校就学以降は、男女ともに働き方はフルタイム社員と同じにしながら、スポット的に家庭のことに対応できる休暇制度を設けること によって、両立支援を強化していくことが求められるとしました。

上記のうち、3歳になるまでの両立支援措置として、テレワークについては、現在、努力義務となっている出社・退社時間の調整などに加えて、テレワークを企業の努力義務として位置付けること、また、テレワークが保育所等への入所に当たり不利にならないよう、居宅外での勤務とで一律に取扱いに差異を設けることのないよう、 保育行政において徹底していくことが必要とされました。

また、短時間勤務制度については、原則1日6時間とする措置を必ず設けなければならないとする現行の制度を引き続き維持するとした上で、他の勤務時間も併せて設定することを一層促していくこと、短時間勤務が困難な場合の代替措置の一つに、テレワークも追加することが必要とされました。

次に、子が3歳以降小学校就学前までの両立支援としては、フルタイムで働くことへのニーズに応えることができる柔軟な働き方を可能とする取り組みを企業に求めるべきとして、短時間勤務制度、テレワーク (所定労働時間を短縮しないもの、始業時刻の変更等の措置(所定労働時間を短縮しないもの。 フレックスタイム制を含む。)、新たな休暇の付与(法定の休暇とは別に一定の期間ごとに付与され、時間単位で取得できるもの)などの柔軟な働き方を措置する制度の中から、事業主が各職場の事情に応じて、2以上の制度を選択して措置を講じる義務を設けることが必要とされました。

ここは義務付けが提案されていることに留意が必要です。「新たな休暇」については、有給であることが必ずしも求められないのであれば、この措置を選ぶ企業は多いように思われます。その次が、短時間勤務制度の延長でしょうか。もっとも使われなければ形だけの制度となってしまいます。報告書案でも「選択の際には、労働者からのニーズを把握することが重要である」と指摘されている点にも留意してください。

次にみるのが、3歳になる まで請求できる残業免除(所定外労働の制限)を、3歳以降も請求を可能とすることです。請求できる期間については、小学校就学前までとすることが適当とされました。

次に、子の看護休暇の取得目的については、「看護休暇」の名称の在り方について検討すること、取得可能な子の年齢については、小学校3年生の修了までに引き上げることが必要であることなどが提案されています。

上記のほか、仕事と育児の両立支援制度の活用促進として、①制度の活用をサポートする企業や周囲の労働者に対する支援、②育児休業取得状況の公表や取得率の目標設定について、③次世代育成支援に向けた職場環境の整備などについても検討事項を提案しています。

今回の改正は、育児休業後の仕事と育児の両立支援がその眼目のため、近年の改正とは少し異なる影響がありそうです。このすべてが成立するわけではありませんが、今後の動向に注意が必要でしょう。

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参考リンク

第9回今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会(厚生労働省HP)