世界のハローワークからVOL026:ハローワーク高崎

前回に引き続き、雇用保険制度の改正動向についてみていきましょう。

3 就職促進給付

就業手当は、令和7年度から廃止すべきとされました。また、就業促進定着手当は、再就職後賃金が離職時賃金より低下する者を対象として、再就職6箇月後に離職時賃金と再就職後賃金との差額の6月分を一時金として追加的に給付することにより、賃金低下による再就職意欲の低下を緩和し、早期再就職を更に促すとともに職場への定着を促すことを目的として平成26年改正により創設された給付ですが、令和7年度からは、その上限(現在は、再就職時の基本手当支給残日数に応じてその40%相当額又は30%相当額)を、一律、基本手当支給残日数の20%相当額として存続させるべきとされました。

4 教育訓練給付

第1に、教育訓練給付金については、労働者の主体的な能力開発を支援するため、雇用保険制度における給付であり、自ら教育訓練に取り組む労働者への支援を強化するため、令和6年度中に、より訓練受講の効果を高める観点で、教育訓練給付金の対象訓練の内容等に応じ、拡充を行うべきとされました。具体的には、労働者の中長期的なキャリア形成に資する教育訓練を対象とする専門実践教育訓練給付金について、現行の資格取得等を実現した場合の追加給付に加えて、教育訓練の受講前後を比べ、賃金が一定(5%)以上上昇した場合には、現行の追加給付を受けていることを前提として、更に受講費用の10%(年間上限8万円)を追加で支給し、教育訓練給付金の給付率を最大で受講費用の80%とすべきとされました。

また、労働者の速やかな再就職および早期のキャリア形成に資する教育訓練を対象とする特定一般教育訓練給付金について、新たに、資格取得等した場合には、受講費用の10%(上限年間5万円)を追加で支給することとすべきとされました。

第2に、令和6年度末までの暫定措置とされている教育訓練支援給付金は、令和4年改正で コロナ禍からの経済の回復途上にあることも踏まえて3年間延長されたところですが、給付率を基本手当日額の80%から60%とした上で暫定措置を令和7年度から2年間延長すべきとされました。

5 高年齢雇用継続給付

高年齢雇用継続給付は、65歳までの雇用の継続を援助、促進することを目的に平成6年に創設されたものですが、令和2年の雇用保険法改正において給付率を各月の賃金の15%から10%に引き下げることとされ、令和7年4月から施行することとされています。本改正については、改めて十分な周知等を行い、円滑な施行を図った上で、廃止も含め、引き続き検討を行うべきとされました。

6 男女ともに働きながら育児を担うことができる環境の整備

第1に、育児休業関連の給付については、両親ともに育児休業を取得することを促進するため、令和7年度から、子の出生後一定期間内に、被保険者とその配偶者がともに一定期間以上の育児休業を取得した場合には、産後パパ育休期間と同じ期間である28日間を限度に、休業開始前賃金の80%相当額の給付を支給するようにすべきとされました。具体的には、育児需要が高い、男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内に、14日以上の育児休業を取得する場合に、28日間を限度に、休業開始前賃金の13%相当額を出生後休業支援給付金(仮称)として給付することとし、既存の育児休業給付(給付率67%)と併せて休業開始前賃金の80%相当額の給付とすべきとされました。

また、原則として被保険者とその配偶者の両者が育児休業(産後パパ育休を含む。)を取得していることを要件とし、配偶者がいない場合や、配偶者が雇用労働者以外の働き方で就業している場合など、配偶者が育児休業を取得することができない場合や、配偶者が産後休業を取得している場合は、配偶者の育児休業の取得を要件としない取扱いとすべきとされました。

育児休業給付とは別に、被保険者が2歳未満の子を養育するために、時短勤務をしている場合の新たな給付として、令和7年度から、育児時短就業給付(仮称)を創設することとされました。具体的には、現行の育児休業給付と同様、時短勤務開始日前2年間にみなし被保険者期間が12箇月以上ある被保険者を対象者とし、また、2歳未満の子を養育する場合に給付することとし、さらに、給付対象となる時短勤務の労働時間又は労働する日数について、制限は設けないこととすべきとされました。

また、給付率については、時短勤務中の各月に支払われた賃金額の10%とし、その上で、高年齢雇用継続給付と同様に、給付額と賃金額の合計が時短勤務開始前の賃金を超えないよう、一定の賃金額を超えた場合には給付率を逓減させることとすべきとされました。

このように雇用保険については、令和7年度には大きな制度改正が見込まれます。これらの内容を踏まえて次の国会に改正法案が提出されるとみられますので、今後の動向にも注意しておく必要があるでしょう。

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参考リンク

労働政策審議会 職業安定分科会 雇用保険部会報告(厚生労働省HP)